2023(令和5)年2月、
宿泊施設の銀鱗荘本館と隣接するグリル銀鱗荘が、
国の登録有形文化財(建造物)に正式登録されました。

建築・意匠
Architecture

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銀鱗荘は、鰊漁で繁栄した猪俣安之丞が明治後期に建てた鰊漁家建築。余市町にあった旧猪俣家の住宅は、開道70年を機に昭和13年に小樽市に移築されました。
せり上がった庇が印象的な銀鱗荘。家主の猪俣が故郷の越後から招聘した宮大工・米山仙蔵の普請によるもので、随所に練達の伽藍師ならではの巧緻極める美しさが光ります。
建築素材には、とど松、せん、たも、栗などの高級木材を厳選。正面の腰羽目には、輸送手段も未発達な時代に外国から取り寄せた大形花崗岩を用いるなど、目立たぬ所にまで可能な限りの贅をつくした網元の心意気が伝わります。
また、建物内各所に数寄屋建築を意識した意匠やシャレ木、変木を多用。北海道の地域性を意識した独創的なモチーフや、近代和風意匠も施されており、さまざまな感覚を融合させ、造り上げられたことが伺えます。
このように銀鱗荘は余市・小樽の文化を知ることができる貴重な資源として2023年に国登録有形文化財(建造物)に登録されました。

  • 歴史

    History

    「北の春は鰊で明ける」とうたわれ、北海道の西海岸一帯が押し寄せる鰊漁で大いに賑わったのは江戸時代から明治、大正、昭和初期にかけてのこと。北海の波濤に挑んだ各地の大網元は、その威光を誇るかのように豪壮な居を構えました。その隆盛最中の1900年(明治33年)、余市の大網元、猪俣安之丞氏が築造した個人邸宅が銀鱗荘のはじまり。以来約120年、銀鱗荘は現存する数少ない鰊御殿のひとつとして、また希少な宿泊できる鰊御殿として変わらぬ雄姿で北の海に繰り広げられた栄華の歴史を今も伝えます。